■目次
こちらはヒンドゥ神話のページです。
インド、ネパール、バリ島などで信仰されているヒンドゥ教ですが、その神話は日本神話やギリシャ神話と同様、人間っぽい神様たちのエピソードが。
おっちょこちょいだったり、ちょっとHだったり、読み物としても面白いお話がいっぱいです。
楽しんでくださいね(^^♪

ヒンドゥ神様紹介。やっぱり、がねさまからいきましょうか
ガネーシャ
ヒンドゥ寺院におまいりするときには最初にガネーシャにお参りするという決まりがあります。
その理由もおもしろい神話があるので、また後日、ゆっくりと
ガネーシャはヒンドゥ最高神のひとり、シヴァと愛妻パールヴァーティの長男。
人の体に片牙の象の頭をもち、ヒンドゥ圏で最も親しまれ、崇拝される、商売と学問の神様です。
乗り物とされる動物はネズミ(このネズミは調伏した悪魔が姿を変えたものとか、火の神アグニの化身とかいろいろ言われていて、どうやら普通のネズミではないらしい)
好物はモーダカ(ネパール語ではラッドゥ)と呼ばれる甘いダンゴ。
たまにがね亭にもあったりするので、運がいいと食べれるかも(^^♪
物事を成し遂げるにあたって強い力をあたえてくれるとされているため障害除去者の名もあります。
実際に象を見るとわかるのですが、歩く先に木などが立っていても、鼻でばんばかブチ折って通ってゆきます。
道がないならチカラワザでつくってしまえ!という強引なまでの力強さを持つ神様でもあります。
日本では聖天とか歓喜天と呼ばれ、現世利益で有名なので、そのあたりが引き継がれているのかもしれません。
聖天は色町によくまつられており、性的なイメージが強くあります。
しかし、ガネーシャは一部でガネーシャシャクティと呼ばれる妻帯の形をとるものの、多くの地域では独身とされており、このあたり、伝来するまでにシヴァと性格が入れ替わっているのではないかと私は考えています。
そのことについてもまた別の機会にゆっくり書いてゆきたいと思っています。
がね亭の屋号もガネーシャからいただいています。
さて、次はがねさまのパパ。シヴァ神。

神様とアスラ(悪魔に近い存在かなぁ)が大蛇の胴体を使って乳海を攪拌したときに蛇が苦しんで吐いた毒を飲み干してしまった剛毅なシヴァさまの図
男性原理の象徴でもあり、街中にも男性器と女性器が結合しシヴァリンガという形であちこちにたっています

ヒンドゥでは三人の最高神ブラフマン、ヴィシュヌ、シヴァがそれぞれ創造、維持、破壊の神とされ、シヴァは破壊神とされるのが一般的なのですが、インドの聖者アンマのお弟子さん、シャンタジによると、原語では破壊ではなく、融合というニュアンスが近いとか。
ヒンドゥ最高神3柱のなかでもシヴァが一番エラいということを伝える、日本人からみるとヒジョーにくだらない不可解な神話もあるのですが、それはまた機会をあらためて・・・
ということで、とってもコワい神様なのですが、普段はトラの皮の腰巻いちまいのサドゥ(ヒンドゥの修行者)姿で瞑想しているか、ヨメさんのパールヴァーティといちゃついております
ネパール旧王宮広場にあるシヴァさま夫妻の像。
シヴァさまの左手に注目

ヒンドゥの神様は、変身することでその属性の別の側面を強調することができます。
シヴァも変身するとこうなります

マハーカーラ(偉大なる暗黒)
シヴァの憤怒相。破壊の側面が強く出た姿。
そして、この方は日本でもなじみのあるこの方と同一人物

大黒さま
ね。大黒→大いなる暗黒でしょ?
大黒さま自身、今では七福神のひとりとして平和な印象がありますが、古い像では憤怒の表情のものもあり、もともとは戦の神さまでもあります。
ただ、日本では大黒→大国と音が近かったために大国主命とキャラクターがまじっちゃったみたいです。
私個人としては、伝来途中でガネーシャとも性格が入れ替わっていると考えているのですが、それはまたの機会に。
ところでこの俵に乗って帽子をかぶった大国さまの姿。後ろからみると男根に見えるようになっているんです。シヴァの性格がこんなところに隠されています
さて、こんなに男性的。破壊神のシヴァさまですが、こんな目にあうこともあります。
これはまたの機会に

さて、シヴァさまを紹介しましたので、次はパールヴァーティ女神さま。
シヴァさまの大事な奥様です。

パールバーティさまは、シヴァさまと仲良しなので、常に一緒。
そして、あまりに仲がよすぎてエラいことになってることもあります

男性原理と女性原理の統合とか難しい説明もあるにはあるんですが、要は100年ほどいちゃつき続けたらくっついちゃたの図
パールヴァーティの姿を一人で描かれている絵はあまりみたことがありません。
化身の姿の時は一人が多いですね。
美しい戦争の女神。ドゥルガ。
神々に仇なす悪魔を退治しています。

これはライオンに乗ってますね。トラに乗っていることもあります。
穏やかな顔をして、悪魔を踏んづけ、あらゆる武器をかざして脅しあげております
オンナの見かけにだまされてはいけないという教訓です
しかし・・・悪魔たちはこぼれた血からさらに増殖して抵抗を重ね、この美しいドゥルガさまをブチ切れさせてしまいました。
ブチ切れたドゥルガさまはさらに殺戮の女神カーリーに変化します

悪魔が血から増殖するのならと、こぼれる血をすべて飲み干して全滅させた悪魔の首で首飾りを作り、ついでに世界を回って関係のないひとたちも大量殺戮。
下で踏んづけられているのは、止めに入って蹴り倒されたシヴァさま。
ダンナを踏んづけて、カーリーさまはやっと正気にもどられたそうです。
という話なんだけど、このシーンどの絵をみてもシヴァさまは穏やかな表情をしています。
妻のすべての面を受け入れる、余裕のあるイイ男なのかもしれません
ドゥルガのお祭りダサインは盆と正月が一緒に来たようなお祭りで、ドゥルガに血をささげるため、街中にヤギや水牛の首がごろごろしているというなかなか迫力のあるお祭りです。
この時期に行くと、どこの家にいっても肉たっぷりにご馳走にありつけます(ネパールでは肉はめったに食べないご馳走です)
がねさま一家紹介最後は弟のスカンダさま。
ん〜。。。。
はっきり言って影薄いです。

シヴァさま一家。
スカンダさまの描かれている絵を探すのに苦労しました(シヴァ、パールヴァーティ、ガネーシャ3人の絵が多い)
一番インパクトのある逸話は、スカンダの名前の語源がイスカンダルという説が有力ということでしょうか。
そう、
宇宙のかなたイスカンダル・・・

・・・ではなくアレクサンダー大王のことです。
インドにまで手を伸ばしたアレクサンダーの神格化・・・・ま、菅原道真を天神様として全国に神社を作ってしまう日本人なら理解できないことはありません
神話に戻ります。
そう、一家の絵でも忘れられるくらい影が薄いんですが、実はとっても強い軍神なのです。
生後4日にして、軍神インドラ(帝釈天)の軍でも打ち破ることが出来なかったため、インドラが軍神の座を譲ったとされています。
日本では韋駄天の名で有名です。

スカンダさま。乗り物は孔雀です。
ところで、昔、ことわざ辞典のアニメで韋駄天走りという言葉を覚えたのですが、その後実際にその言葉が使われているのを聞いたことがないのは私だけでしょうか
で、スカンダさまの誕生秘話を。。。。とも思ったのですが、長くなりそうなので、別の記事にあらためて
シヴァさま一家の話も結構続いていますので、他の話もするために神様紹介を再開します(・ω・)/
お次は最高神のひとりヴィシュヌさま♪

世界の維持をつかさどり、光り輝く気高く美しい神様。太陽神ともされるようです。(されるようです。というのは、いろんな流派がいて決まってないから)
奥さまは美と豊かさと幸運の女神ラクシュミー(吉祥天)さま。乗り物は神鳥ガルーダ。

ヴィシュヌさまは日本では変化自在天と呼ばれる・・・と記憶しているのですが、確認しようと検索したら出てきませんでした。勘違いかもしれません
さて、ヴィシュヌさま自身のおはなしもあるのですが、むしろ化身の多さで有名な神様です。
一般的には下の12の化身をもつといわれますが、化身の数も順番のもいろんな説があり、よくわかりません。
とりあえず、一番無難なあたりを紹介します。Wikipediaこぴぺともいいますw
(オレンジ文字はがねつぶやき)
マツヤ (Matsya)、魚
大洪水の時に賢者マヌの前に現われ7日後の大洪水を預言し、船にあらゆる種子と7人の聖者を乗せるよう言った。
ノアの箱舟の話に似てるなぁ・・・
クールマ (Kurma)、亀
神々が不死の霊水アムリタを海から取り出そうとした時、亀の姿になって現われて作業を助けた。
この話自体も日本の天地創造神話に似てる・・・
- ヴァラーハ (Varaha)、猪
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大地が水の底に沈められようとしたときに、猪の姿で現われ大地をその牙で支えた。
- ナラシンハ (Narasimha)、ライオン男半人半獅子の姿で悪魔ヒラニヤカシプを退治した。
ヴァーマナ (Vamana)、矮人
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悪神バリによって世界が支配されたときに現われ、バリと3歩歩いた広さの土地を譲り受ける約束をした後、巨大化し世界を2歩で歩き3歩目でバリを踏みつけた。
これに似た話もどっかで聞いたことあるよーな・・・
- パラシュラーマ (w:Parashurama )、斧を持つラーマ
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クシャトリア族が世界を支配した時、神々、ブラフマン、人を救った。
- ラーマ(Rama) (意味は「心地よい」)
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叙事詩『ラーマーヤナ』の英雄。魔王ラーヴァナから人類を救った。
このときはラーマ王子だけでなく、ラーマの兄弟たち、妻のシータもラーマの魂を分けたとされているようです。ちなみにラーマーヤナは西遊記の元になったとされています。さらに遠くはなれて桃太郎の元にもなっているとか・・・
- クリシュナ (Krishna) (意味は「闇」または「黒」)
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叙事詩『マハーバーラタ』の英雄。特にその挿話『バガヴァッド・ギーター』で活躍。
ヒンドゥ神話きってのアイドル神、クリシュナさまも変化とされています。クリシュナさまはイエスさまと同一視されることもあるようです。
- ゴータマ・ブッダ (仏陀/釈尊)
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偉大なるヴェーダ聖典をアスラ から遠ざける為に、敢えて偽の宗教である仏教を広めた(バーガヴァタ・プラーナ)。 「ヒンドゥー教における釈迦 」も参照
このへんはヒンドゥ教と仏教の勢力争いの匂いがしますな(--;
- カルキ (Kalki) ("時間")、救世主
- カリ・ユガ(世界が崩れ行く時代)の最後、世界の秩序が完全に失われた時代に現れて悪から世界を救い、新しい時代(ユガ)を始めるという。
- 名古屋駅近くにあるインド料理屋ウッタムのオヤジの名前もカルキ・・・・
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一説ではこの順番は魂の進化をあらわすとも言われます。
そういわれれば、動物から始まって、勇猛なナラシンハ、知恵のある矮人、名君のラーマ、キリストと同一視されることもあるプレイボーイのクリシュナ、ブッダ、人間を超えた存在であるカルキ。
また、こうやってみると、ヴィシュヌさまひとりに世界の神さまや神話の共通項がつめこまれているようにも見えます。
広大なインドの宗教を統一するときにいろいろ取り込んでいった結果かも知れません。
太陽のひかりはすべての色を包含する白色光。
ヒンドゥの大きさ、深さそして、ま、いっかという大ざっぱさ・・・それを象徴するような神様でもあるのかも
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でも、人気のあるクリシュナやブッダも化身にしてしまっているあたり、みんなエラいけど、ホントはヴィシュヌさまが一番エラいんだも〜んという、ヴィシュヌ派の主張を感じないでもありません
2015-12-27 01:40
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ヒンドゥ神様紹介。三人の最高神のひとり。世界を創造されたとされるブラフマーさま。

なんですが、実はワタクシ、困っております。三人の最高神のなかで一番影が薄くて、これを書きながらも紹介するネタを必死で考え中
というのも、宇宙の根本原理という、甚だ抽象的なものを擬人化(擬神化?)した存在なので、もともとが人間的な土着の神様に比べると把握しにくい存在なんでしょうね。ブラフマーさまを主役とした逸話とか少ないんです。
もともとがバラモン教の神であり、崇拝者が聖職者であるバラモンたちだったので、少々コ難しくても理解してもらえたんでしょうが、いろんな宗教が融合し、広がるにつれてわかりやすい土着の神さまの人気のほうがあがっていったというのが正直なところでしょう。
昔、小学校だか中学校だかで梵我一如、そしてブラフマンとアートマンという言葉を習いましたが、そのブラフマン。今思えば、これにしたって子供にわからせるつもりで教科書を書いているとは思えません・・・気をとりなおして・・・・と・・・・(知ってる限りの知識を搾り出しちう)
そうはいっても日本では梵天の名前で結構しられています。
若いお釈迦さまに悟りをひらき、それを伝えるよう語ったともされていて、手塚治虫のブッダにも出てきますね

奥さまは美人でシタールの演奏が上手なサラスヴァティさま。日本ではシタールが琵琶となり、弁財天とよばれています。

さてふたりのなれそめをお話しましょう。
ブラフマーさま、顔が4つあります。
もともとはひとつだったのですが、ある日美しいサラスヴァティさまに一目ぼれ
あまりの美しさにじーっと見つめていたらサラスヴァティさまが逃げたので(当たり前だ)、右に逃げれば右に、左に逃げれば左に、後ろに逃げれば後ろにと、逃げた方向にも顔をつくって見つめ続け、さすがに
このオッサンちょっとヤバい・・・・
と空に逃げたサラスヴァティさま。
それでも気合で頭の上にも5つめの顔をつくって見つめ続け、さすがに根負けしたサラスヴァティさまはブラフマーさまの妻となったということです
押しの一手で美人の妻を射止めたブラフマーさまですが、ある日、シヴァさまと大ゲンカをして、頭上の顔を切り落とされ、いまは顔は4つにおちついています
こういった話もあったり、アスラ(魔族)に力を与えちゃって大騒ぎになったりして、けっこういろいろやらかしてはいるとかどうとかこうとかはともかく・・・・・
そのうえ最高三神のなかでは一番地味ですが、実のところ最も由緒正しい神さまではあるかも
今回はヒンドゥの天地創造神話。
乳海攪拌のおはなしをしましょう。
バンコク、スワンナプーム空港には大きな乳海攪拌の像があります。
なぜ仏教国タイのハブ空港のど真ん中にヒンドゥの天地創造神話の像があるのかはナゾですが、たぶん、この空港を利用したことのある人はこの大きな像が印象に残っているとおもいます。

昔、神々は不老不死の存在ではありませんでした。そこで神々は、不老不死の秘薬、アムリタを作ることにしました。
アムリタを得るにはどうしたらいいか・・・・
相談していると、ヴィシュヌさまが、神々とアスラたちが共同で海を攪拌することで、アムリタが得られると告げました。
しかし、これは神さまだけでできることではありません。アスラたちの協力が必要です。
(アスラは悪魔と訳されることが多いようですが、私の個人的な印象では悪魔ほど邪悪な印象はありません。確かに、人間にとって脅威となる存在なのですが、二元論的な善悪ではないと考えています)
神々とアスラたちは相談して、マンダラ山を軸とし、大蛇ヴァースキを巻きつけて両側から引っ張りあい、海を攪拌することにしました。
下に見えている亀はヴィシュヌさまの化身。地面が沈まないように軸をささえています。
しかしヴァースキにしてみればいい迷惑です
自分のからだを世界の中心に巻きつけられて、神とアスラ総がかりで引っ張られたのではたまったものではありません
当然ヴァースキは
げろげろげろ〜
毒を世界中に吐き散らしたので世界が滅びかけるハメに・・・
そこへ現れたのは男の中のオトコ、シヴァさま。ヴァースキが吐いたゲロ毒をすべて飲み干して世界を救いました。
そのときの毒でシヴァさまののどは今でも黒くやけているそうです。
あまりに激しく攪拌したので、その摩擦でマンダラ山が燃え、動物が丸コゲになって海に転がり込み、さらに海の生物はすべてすりつぶされて海は白濁して乳のようになりました。
それでこの海を乳海とよびます。
しかし、神さまがた・・・・自分たちが不老不死になるためにどこまで無茶を・・・・
さて、乳海の攪拌がすすむと、そこに太陽と月が。続いてラクシュミー女神さまが。・・・・中略(多すぎて覚えてません)・・・・とにかく、美女やら宝物やら神様やらが次々に乳海の中から現れ、最後に医学の祖ダスヴァンタリ神がアムリタの入った壺を持って現れました。
当然、神々とアスラの間でアムリタ争奪戦が勃発。(手伝ってもらったんだから、アスラたちにも分けてあげようという気は神様たちにはなかった模様・・・
アスラがアムリタを奪ったかに見えましたが、ヴィシュヌさまが絶世の美女に化けてアスラを骨抜きに。神さま、アムリタの奪還に成功。
・・・いろいろ腑に落ちない点はありますが、一応、えらくて正義の味方の神さま達がアムリタを手に入れたので、めでたしめでたしということらしい
が。。。神々がアムリタを飲んでいるときにアスラのひとりのラーフが神に化けてアムリタを飲んでしまいました。
すぐに気づいた太陽と月がラーフの首を刎ねたのですが、すでにアムリタを飲んでしまっていたラーフは首と胴に分かれても生きていました。
それ以来、ラーフは太陽と月を恨み、会うたびに飲み込むようになりましたが、胴体がないので、太陽と月はすぐに出てくることができます。
これが日食と月食となったということです。
・・・・・えと・・・・この話、
どこをとっても蛇さんとかアスラさんが被害者のような気がする
のは私だけでしょうか
ちなみにインド占星術では首をラーフ、胴体をケートゥとよび(西洋占星術ではドラゴンヘッド、ドラゴンテイル)凶星とされていますが、実際には惑星ではなく、月と太陽の軌道の交点となります。
インドの占星術師たちは太陽と月の軌道を正確に知り、計算によってラーフとケートゥの位置を導き出していたわけですね。
そして、話の顛末はともかくアムリタを得るのに神だけでなく悪魔とさえ訳されるアスラの力が必要だったという点も、善悪二元論に収まらないヒンドゥの深さを感じさせます。
じっくり読んでみると、いろんな寓意が含まれているようで、私の好きな話のひとつでもあります。
2015-12-22 23:48
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それでは、がねさま一家も一通り紹介しましたので、お話のほうも書いていくことにします。
まずはがねさま誕生のおはなし。

ガネーシャさまの両親はシヴァさまとパールヴァーティさま。
シヴァさまの留守中に子供がほしいと思ったパールヴァーティさま。子供を作ることにしました。
お風呂を沸かし、体をごしごし洗って、出てきた垢をまとめ、かわいい男の子の形を作って命を吹き込みました。<日本にもこんな話ありましたね。
神様はこういうとき、なんでもできて便利です
そう、この時点では、ガネーシャさまは普通のかわいい男の子だったのです
かわいい息子を作ってご満悦のパールヴァーティさまは、はじめてのおつかい(おてつだい?)として、入浴中、誰も入ってこないように見張りを言いつけました。
とっても賢いので、言いつけどおりお風呂を見張る子供ガネーシャさま。
そこに帰ってきたのは、ダンナのシヴァさま。
シヴァ、パールヴァーティ夫妻は、ヒンドゥ神話随一のおしどり夫婦で、くっつきすぎてホントにくっついちゃったりするほど・・・

シヴァさまは早速お風呂に入っているパールヴァーティさまのところへいこうとしました
ところが、知らない子供が風呂の前でがんばっていてシヴァさまを通そうとしません
そう。パールヴァーティさまが一人のときにつくったので、この父子はお互いの存在を知らなかったのです。
最高神たる自分に逆らう知らないガキにブチ切れたシヴァさま。
ガネーシャさまの首を切り落としてしまいました。
大人気ないにもほどがあります
その惨状を見たパールヴァーティさまの悲しみと怒りはそれはそれは深いものでした・・・
ここで思い出してください → hpgen/HPB/entries/209.html
パールヴァーティさまは戦争の女神、果ては殺戮の女神でさえあります
さすがのシヴァさまも、自分がヒジョーにヤバいことをしてしまったことに気づきました

↑現にキレた奥方に踏んづけられた経験のあるシヴァさま
「わ・・・わかった・・・・・次にここを通ったヤツの首をつけるから・・・」
シヴァさまも焦っていたのでしょう。通った人または神という表現を使わずに通ったヤツと言っちゃった
そして、次にそこを通ったのは運の悪い一頭のゾウさん・・・・

シヴァさまはそのゾウの首を切り落としてガネーシャさまの体につなげ、生き返ったガネーシャさまはそれ以来ゾウの頭になりました。
そこまでの能力があるのなら、ナゼ切り落とした元の首をつなげてやれないんでしょうか・・・
まぁ、みんなに愛されるゾウの頭となったおかげなのか、ヒンドゥでは一番人気のある神様でもあります。
ゾウの力強さにあやかってでしょうか。
ガネーシャには障害除去者の名もあり、商売をはもちろん、物事を始めるときには必ずガネーシャさまにお祈りをすることになっています。
よく考えると、日本神話のカグツチの話 とダブる部分もあったりして、どこの国でも父親と息子というのはこういうものなのかもしれませんねぇ・・・
どこの神話もエディプスコンプレックス の概念が盛り込まれているのかなぁ・・・
次はシヴァ、パールヴァーティ夫妻の息子、スカンダさまの誕生秘話といきましょう。

孔雀に乗った軍神スカンダさまの誕生にはこんなおはなしがあります。
昔、火の神アグニさまが7人の美しい仙人の妻たちに恋をしました。
しかし、まじめな(まじめなひとが7人もまとめて恋をするだろーか?というギモンはおいといて)アグニさまは他人の妻に言い寄ることをよしとせず、煩悩を断ち切るべく修行を続けておりました。
厳しい修行をするアグニさま。(事情はともかく、厳しい修行はしていたらしい)その姿をみて思いを寄せたのは、スヴァーハ。
修行を続けるアグニさま。どうしても通じない想いを募らせるスヴァーハ。
あ、彼が思い続けている仙人の妻に化ければひょっとして
し・か・も・7人もいるじゃ〜んっ
スヴァーハは嫉妬に負けない前向きな性格だったようです
仙人の妻の一人に化けてアグニさまを訪れたスヴァーハ。
アグニさまとしても、憎からず思っている相手が向こうからやってきてくれるわけですから、据え膳食わない理由はありません
それからというもの、毎晩、アグニさまのもとに6人の想い人が順番にやってきました。(貞操観念の非常に強いひとりだけはスヴァーハも化けられなかったといわれます)
舞い上がって、状況の不自然さに気づかないアグニさまは、6日間連続でXXXXXXXな思いをされました
愛するアグニさまの思い出・・・と思ったかどうかは知りませんが、スヴァーハはアグニさまの精液をアシュベータ山の黄金の穴に隠しました。
やがて、その黄金の穴から六面十二臂のスカンダさまが誕生したということです
さて!
この話のドコにシヴァとパールヴァーティが出てくるねんっ!
とお気づきの方もおられることと思います。
実はアグニさまとスヴァーハがXXXしている時に
シヴァさまとパールヴァーティさまが乗り移っていた!
んです。
世界をつかさどる神々のお考えは我々人間などの及ぶところではありません。
きっと深〜いお考えがあってのことなのでしょう・・・・・たぶん・・・・・
ともあれ、そういう事情で、スカンダさまはシヴァさまとパールヴァーティさまの息子として扱われるようになったということです
ヒンドゥ神話はあちこちでムチャクチャだったり、矛盾があったり、同じことにたいして複数の逸話があったりします。
ま、この辺は広いインドでいろんな神様が習合したときのつじつまあわせなんでしょーね。
多くの絵に描かれ
ているように、シヴァさまには額に目(サードアイ)があります。

さて、この目ですが、初めからあったわけではありません。
ある日突然できたものです。
今日はシヴァさまのサードアイが出来たワケをお話ししましょう。
ヒンドゥの神様の中では一番質素な姿をしているシヴァさまですが、これはサドゥ(修行僧)の姿です。
実際にシヴァさまは厳しい修行をしていて、一旦瞑想を始めると、数百年は瞑想し続けます。
が・・・それだとつまらないのが奥さんのパールヴァーティさま。
シヴァさまがかまってくれないのでさびしくて仕方ありません
そこで、ちょっといたずら心を起こしたパールヴァーティさま。
だーれだっ
と両手で瞑想中のシヴァさまの目をふさいでみました。
パールヴァーティさまにしてみれば、かまってほしくて軽くちょっかいをかけてみただけなんですが、シヴァさまは世界をつかさどる最高神のひとり。・・・というか、ガネーシャさまに言わせれば世界そのもの
視界をふさがれることで世界は闇に包まれ,滅亡一歩手前に・・・・
シヴァさまとしても、突然真っ暗になったのでワケはわかってないんですが、自分の存在も理解していたのでしょう。
このままではマズい・・・
そう思ったシヴァさまは、気合で額をこじ開けて目を作ったんだな
すると、そこから強烈な光が放たれて世界は救われましたとさ
というお話
しかし・・・・この夫婦。
ことあるごとに世界を滅亡の淵に叩き込まれたのでは、たまったものではありません
ぜひとも仲良く平和にすごしていただきたいものです
※おまけ
シヴァのサードアイも金次第(で開く)
ネパールのことわざ
ま、どの国も似たようなもののようです
さて、いろんな事情 はあるものの、兄弟とされるガネーシャさまとスカンダさま。
やっぱり兄弟というものはいろいろあるものです。

ある日、シヴァさまが、そろそろ自分の息子のどちらかを後継者として決めておこうと思いました。
そこで、二人の息子たちを呼び、
「お前らふたりのうち、先に世界を三周した方にオレの国ゆずるわ。」
というかなり投げやりな条件をだしました
この条件。どー考えてもガネーシャさまにとって不利。
スカンダさまはヒンドゥ最強の軍神。日本では韋駄天と呼ばれ、足の速さでも定評があります。
さらには乗り物は空を飛ぶ孔雀。
かたや、ガネーシャさまは知恵と商売の神。ふくよかなおなかはかわいくはありますが、どうみても走るのは得意そうに見えません
そして、乗り物にいたってはネズミ
象がネズミに乗ろうとう時点でムリがあります
それでも、最高神のひとりである父の言うことは絶対です。
スカンダさまは、すぐに孔雀に乗って飛び立っていきました
かたや、がねさま。
ちょっと考えていたと思うと、よっこらしょっとと立ち上がり、両親のまわりをてくてくてくと三周まわって、
「お父さま、お母さま。私にとっては、偉大なあなたがたこそが世界そのものです」
などと、いけしゃーしゃーと言い放ち、それに感心した単純なシヴァさまは、人々が神に祈るときにはガネーシャさまに一番先に祈りをささげるよう決められましたとさ
このときのスカンダさまの気持ちはあまり聞いたことがありませんが、かなり気の毒な気がいたしますです
ということで、今でも神に祈りをささげるときや新しいことをはじめるときは最初にガネーシャさまに祈りをささげることになっていて、お寺の前にはガネーシャ像があります。
仏教のお寺の前にもあったりするので、やっぱり多神教の国はおおらかなんだな〜なんて思いますね〜
ヒンドゥ最高神はブラフマー 、ヴィシュヌ 、シヴァ とされています。

ブラフマーが世界を創造し、ヴィシュヌが維持し、シヴァが破壊(シャンタジによると、破壊というのは誤訳で融合といった意味合いが強いそうです)すると言われますが、、広いインドのこと。
ルーツの違う神様を取り込む際に後付でつじつまを合わせたというところじゃないかと私は考えています。
そういうことなので、自分がどの神様をメインに信仰しているかでこの3神の優先順位も変わってくるのですが、今回はシヴァさまを主役とした話をしますね。
ある日、ブラフマーさまとヴィシュヌさまがケンカになりました。
理由は、どちらがより偉大かというくだらない話だったんですが。。。。
そうしてもめていると、二人の目の前に大きな柱が現れました。
二人が驚いてみてみると、下も上も遠くかすんで見えません。
とにかくどちらが偉大か優劣をつけたかったふたりは、この柱の果てを先に見つけたほうがより偉大ということにしようと決めました。
この勝負に勝ってもたいしてエラいような気は・・・
すぐさまヴィシュヌさまはいのししに姿を変えて海を潜り、ブラフマーさまは白鳥に乗って天へ飛び去ってゆきました。
しかし、行けども行けども果ては見えません。
ふたりがあきらめたころ、突然、柱からシヴァさまが現れ・・・
どど〜んっ!

これは私のリンガである
(えと・・・りんがってのは男性のシンボルなんですが・・・)
と宣言したため、おふたりは争いをやめ
シヴァこそが最も偉大な神であると認めた
ということです
イメージ的にはこんな感じでしょうか・・・・

ともあれ、神さま方の偉大なお考えは人間の浅知恵など及ぶものではないのかもしれません
2016-01-15 23:23
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